朝廷の重要な官職を独占した名門貴族「摂家」と「清華家」
現代に続く名家・名門の名字と家紋①
<清華家の家紋>
●三条家「唐花菱」
唐草が実際にはないように、「唐花」という植物はなく、大陸伝来の文様・図柄で、三条実行が家紋に定めたという。
●徳大寺家「徳大寺木瓜」
高貴な人物が身を隠す御簾に付けた《御簾裳額》は、牛車の紋として徳大寺実能(さねよし)の時代に用いられるようになったという。
●花山院家「杜若菱」
紫の花が美しい杜若(かきつばた)は平安貴族に好まれた植物。花と葉を上下に向かい合わせた菱形紋が花山院家に伝わる。
●久我家「五つ竜胆車」
村上源氏嫡流の久我(こが)家は源氏の家紋・竜胆を家紋にした。『餝称(かざりしょう)』には《竜胆多須岐(たすき)》を文様とした、とある。
●西園寺家「左三つ巴」
弓を引く左手首に付けた鞆に似た図像で、室町時代初期の「尊卑分脈」などによると、藤原実季(1032〜1091)が定めたという。
●菊亭(今出川家)「三つ楓」
葉が蛙の手に似ている楓は、平安時代から文様や衣服の装飾に用いられた。三枚の葉を図案化したものが菊亭家(今出川家)の家紋。
●大炊御門家「菱片喰草」
片喰草は繁殖力が強い赤紫や緑紫色のクローバーに似た小さな草で、優美な黄色い花が咲く。最も多く用いられた紋で、三葉が多い。
●醍醐家「一条下がり藤」
江戸時代の延宝7年(1679)に一条家から分家した醍醐家は、宗家と同じ「一条下がり藤」を家紋としている。
●広幡家「十六葉裏菊」
寛文4年(1664年)に正親町系の桂宮家から分家して源氏姓を得て創立した廣幡家は、十六葉の菊花を裏から見た家紋を用いている。